ここのところTLR200を使った企画を二つほど同時進行でやっていました。
ひとつはすでにここでも取り上げたASG-CM12を使った企画、そしてもうひとつがコレ↓
TLR200用キャブレターの製品化に向けてのセッティング&テストでした。
TLR200純正の「ケーヒンPW22」キャブレターはもう何年も前に生産終了となってしまい、新品の入手は不可能になってしまっていたのですが、このPW22というキャブは「真鍮ハンダ付け」のフロートが付いているという古~い設計のキャブで、実はこのキャブの経年変化が、TLR200のエンジン不調の原因になることが非常に多いのです。
私自身、発売直後から何台ものTLR200をいじってきて何度も悩まされたのが、アイドリング付近の回転が不安定で、アクセルをほんの少し開けると回転が落ちてしまう現象。
いろいろ悩んだあげく、この原因はキャブにあるという事までは突き止めたのだけど、キャブをオーバーホールして細い通路などを掃除してやっても全然直らない。
で、仕方なくキャブを新品に交換すると、それまでの不調がウソのように快調になるのだ。
キャブのどこが原因なのかは結局わからなかったけど、とにかく新品に交換すれば調子良くなる。
今乗っているTLR200も、レストアの仕上げ段階でこの不調が出ていたので、迷わず新品のキャブに交換していた(当時はまだ純正キャブが販売されていた)のだが、それからかなりの年数が経過し、また同じ不具合が出始めていた。
そのため、アイドリングをかなり高めにしておかないと、信号待ちの発進時にアクセルを開けた時にエンストしてしまう状態になっていた。
そこで、生産中止になってしまったPW22の後継キャブに当たるPD22キャブを入手し、TLR200用にセットアップする作戦を開始した。
左がTLR200純正のPW22、右がPD22。
後継キャブということでベンチュリ径、インシュレーター取り付け部の形状・寸法は同じとなっているが、大きな相違点はまずチョークバルブがPWは複雑なスライド式なのに対し、PDはシンプルなバタフライバルブ式になっている。
そして、フロートがPWの真鍮製からPDでは今風の樹脂製となっている。
ここまで見ると、PDの方が断然進化していて良さそうだったのだが、エアクリーナー側の差込部外径がPDの方が少し大きく、全長もやや長くなってしまっていたのだ。
これでは取り付けることは不可能か‥‥‥と一瞬思ったが、幸いにもTLR200のエアクリーナーコネクティングチューブは「さすが国産品!!」と感心させられるくらい柔軟性と耐候性に優れた素晴らしい材質でできており、ゴム製品の潤滑と耐久性アップに優れた効果を持つ
WAKO'S フッソオイル105をスプレーしてやった上で、ドライバーを使ってはめ込むことが可能だったのだ。
こうしてTLR200に取り付けることができたPD22、あとはセッティングを煮詰める作業に入る。
まずは空ぶかしして大まかなジェット類の最適化を行なったが、思った以上にメインジェットを小さくする必要があり、とりあえず入手できた最小のメインジェットを組み込んで、一回目の走行テストは都内のMFJ関東での会議出席の旅。
↑同時進行企画・ASG-CM12による走行軌跡。
往復約60kmの幹線道路を含む一般道走行でのテストの結果、アイドリングから中速域までのセッティングはドンピシャだったものの、やはりメインジェットがまだ大きすぎ、全開付近の高速域で濃すぎる症状が出てしまっていた。
ところが、欲しい番数のメインジェットがなかなか入手できなくて困っていたところ、別の仕入れルートで入手することができ、再セッティングを施しての二回目の走行テストは
「東葛D51トライアングル巡礼の旅」。
これは総距離約30kmの国道6号を含む交通量の多い一般道走行テストとなったが、ようやく入手できた小さめのメインジェットに変えたことで高回転の伸びも良くなり、低速から高速までの繋がりも全てのアクセル開度でバッチリのベストセッティングが出て、とても30年前のバイクとは思えないくらい気持ちよく、幹線道路の流れに乗って快適に走ることができたのでした。
‥‥‥というわけで、このセッティングでTLR200用として販売することに決定し、メーカーに発注したのですがすぐには揃わず、本日ようやく入荷し販売を開始いたしました。
→http://www.twk.jp/35_1289.html今回、セッティングが決まった状態で巡った「東葛D51トライアングル」のプチツーリングでは、ここのところ少し調子が悪くなってきていたTLR200が見ちがえるように快調になり、改めてTLR200というバイクの素晴らしさを再実感することができました。
トライアルワークス小坂では、これからもこのTLR200という“名車”を大切にして行きたいと思います。
TWKインターネットショップで販売を開始したTLR200用キャブレターKITは予想を超えるご注文をいただき、供給が追いつかない状況が続いております。
一度に入荷する数量がわずかなため、入荷してもすぐに売り切れてしまい、大変ご迷惑をおかけしております。
在庫状況、入荷予定等は商品詳細ページに逐次アップしております。
→http://www.twk.jp/35_1289.html※在庫なしの場合でも「予約注文」という形で受注し、注文順に入荷次第出荷させていただいております。
※2014年4月現在、供給体制が改善し在庫切れの状態は以前より少なくなっており、ほとんどの場合「即納」可能となっております。
―――2015/5/28追記―――
販売開始から約2年が経過し、大変多くのお客様にお買い上げいただき、「とても調子良くなりました」「キック一発でエンジンがかかるようになりました」「快調です!」等々たくさんのご好評の声をいただいておりますTLR200用キャブレターKITですが、2015年5月入荷分からキャブレター本体が値上げされてしまいました。
ここのところ取扱商品の値上げが相次いでおりますが、このキャブレターKITは元々マージンが少ない商品のため、やむを得ず当キットも価格改定させていただくこととなりましたのでご了承ください(旧価格21,800円→新価格23,000円(税別))。
なお、PD22キャブレターはいろいろな仕様が市販されていますが、品質の劣る中国製も出回っているようです。
当店で販売しているTLR200用キャブレターKITはKEIHIN正規品で、TLR200発売当時から乗り続け様々なノウハウを持っているTWK店主が、実走行を重ねて煮詰めたセッティングにて出荷しております。
安価なPD22キャブをそのまま取り付けても快調になる可能性は皆無と言えますので、要交換なOリングやジャストフィットするホースバンドも含んだ当KITが結局一番お買い得であると、自信を持ってお奨めいたします。
そしてこれはここだけの話ですが、販売終了になってしまったTLR200純正のキャブレターAssy.の最後の1個を自分用にずっとキープしていたのですが、こっち(PD22のキット品)の方が快調なので手放すことにしました。
純正品のほうが安心という方は最後のチャンスです(早い者勝ち)↓
http://www.twk.jp/35_1390.html【完売いたしました】その他にもTLR200用パーツのラインアップを増強中ですので、こちらのページもご覧ください↓
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