C56の話の続きですが、前回は全体像をアップしたので今回は各部のアップを。
まずは運転席付近↓
手前には鉄柵、バックは高層マンション―――という、雰囲気ブチ壊しなシチュエーションではあるが、運転席の中を覗き込んでみると‥‥‥
↑配管やバルブ類、計器類などがちゃんと残されていて、これを見ているとまだ動くのではないか‥‥‥という気がしてくる。だが‥‥‥
蒸気機関車の心臓部、とも言えるシリンダーから動輪にかけてのロッド類が安っぽく塗装されていて、一気に“興ざめ”してしまった。
特にこの部分―――↓
真ん中にある「顔」のように見える部品は「クロスヘッド」と言うらしいが、これがピストンロッドにつながっていて、蒸気機関車が走っている時は常にこの「顔」が前後に動いている。
私が7歳まで過ごした福岡県の故郷は、直方駅のすぐ近くであったためいつも蒸気機関車の汽笛が聞こえ、黒く立ちのぼる煙が見え、そして踏切で間近に見る蒸気機関車は、子供の目の高さあたりにこの「顔」のような部品がいつも前後に力強く動いていた‥‥‥という記憶が、今でもはっきりと焼き付いている。
その「顔」が前後に動くガイドバーの摺動部は本来「鉄」の地肌のままで、クロスヘッドの「鼻」の部分はおそらく「自動給油装置」ではないかと思うのだが、屋外展示で錆を防ぐためにこの摺動部分までボテボテに銀色で塗り固められているのを見た瞬間、このC56 110はもうただの“鉄の塊り”に過ぎない‥‥‥そう感じ、ちょっぴり悲しくなってしまった。
↑左側シリンダー部。カバーの鉄板の腐食がかなり進んでしまっている。
↑屋外保存の割には保存状態は良い方かも知れないが、今の自分が置かれている状況を悲しんで、涙を流しているようにも見える。
このC56 110が、どのような経緯でここに置かれる事になったかは知る由もないが、本当の“鉄クズ”になってしまう前に、もっと「マニア」が喜ぶ方法で余生を送らせてあげたい‥‥‥そう強く感じた今回の探検だった。
(一番いいのは「復元」してどこかで走らせる事だけど―――無理だろうなぁ)
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