発売開始からもう37年が経過している名車・TLR200ですが、未だに消耗部品類は入手可能なものも多く、その人気の高さを物語っております。
ですが、さすがにもう入手できないパーツも徐々に増えてきており、その中には車体系の重要パーツであるリアショックも含まれております。
ちょっと話は逸れますが、この「リアショック」(正式な呼び名は「リアショックアブソーバー」)のことを「リアサス」と呼んでいる方も多いのですが、「サス」つまり「サスペンション」というのは「懸架装置」一式全体の名称で、バイクの場合「リアサスペンション」と言うとスイングアーム等も含めた懸架装置全体のことを指します。
リアショックアブソーバーはサスペンションの中の重要な構成部品の一つで、ダンパーユニットとスプリングが一体となったパーツで、まぁ一般的にはリアサスでも通じますが、本当は「リアショック」と呼ぶのが正しくて、それ故にTLRのようにこれを2本使用しているバイクは「ツインショック」とも呼ばれるわけです。
ちなみにHONDAではリアショックのことを「リアクッション」と呼んでいるようですが、これだと何だかすご~くフワフワしてるイメージしかないので私はこの呼び名は使いません(笑)。
TLRのリアショックの話に戻りますが、TLR200純正リアショックはもうかなり前に生産終了となり、その後はTL125(JD06)純正のリアショックが代替品としてしばらくの間販売継続されていたのですが、数年前にとうとうそれも生産終了となってしまい、世の中に沢山の「リアショック難民」のTLR乗りが溢れてしまっている状況でした。
この危機的状況を何とかするべく、トライアルワークス小坂は動き出しました。
と言っても個人経営の小さな店に過ぎないTWKが、サスペンションメーカーに依頼してリアショックを造ってもらえるはずもないので、既製品でTLRに使えそうなものを探すことからこのプロジェクトはスタートしました。
しかし、そのままポン付けできる既製品などあるわけもなく、スペックが近そうなものを何点か探し出し、まずはそれをTWKで加工して取り付けてみることにしました。
↑これがその試作第1号――― と言っても既製品をとりあえずTLRに装着できるよう最小限の加工を施しただけの状態だったのですが、これが思った以上に良い特性が出ていたのです。
特にスプリングの硬さはTLR純正より硬めで、純正は無駄にフワフワ動き過ぎて良くないと感じていた私にとってはまさに望みどおりの感触。これはイケる、という感じでさらに手を加えて行った結果がこちら↓
自由長が短すぎたので加工して少し長くし、その分スプリングのイニシャルが下がったのでスペーサーを入れました。
そのスペーサーもダンパー本体の放熱効果を持たせるためにフィン付とし、見た目もメカニカルな感じを強調。この状態でツインリンクもてぎの関東選手権トライアル設営に持ち込みテスト走行を行なうこととなりました。
これ以前にはTL125純正リアショックを取り付けていたのですが、その状態で後ろにチェーンソーや道具類を積んで悪路を走ると、リアは底付きと伸び切りの繰り返しでドタンバタンと暴れまくって危険な状態になったものですが、今回このリアショックに換えた結果、硬めのスプリングと減衰の効いたダンパーのおかげでリアが暴れることもなく安定して走行することができました。
まぁ普通の使い方で後ろにそんな荷物を積むことはないでしょうけど、空荷の状態でも純正のような無駄な動きはないので安定感は優れています。
どちらかと言うと全体的に硬めのセッティングですが、街乗りや林道走行ではこの方がずっと安定感があって良いと感じました。
ただ、伸び側のダンパーの効きはもう少し弱くてもいいと感じたのは事実で、特に寒い時はオイルが良くないせいかさらにダンパーが効きすぎという感じがして、これは分解して内部のチューニングと良質のサスペンションオイルに交換することによって改善はできるけど、そこまでやると販売価格がグッと高くなってしまうし、トライアル的な走りを追求しなければこれで問題はないので、この仕様でTWKインターネットショップにて販売することに決定をいたしました。
(作者注:後日リアショックの動きを車載カメラで撮影した結果、ダンパーが効き過ぎていたりトライアル的な走りには向いていないかもしれない、という感想は誤りであることが確認できました)→https://www.twk.jp/35_373.html 自由長は純正より10mm短く、ストロークも約90mmと純正より10mmほど短くなっておりますが、スプリングのイニシャルを高めに設定することによって、純正より大きな有効ストローク量を確保することができております。
また、新品時は特に動きが渋い感じがありますが、もてぎでの仕事を終えた後にはダンパーの慣らしが済んで初期の摺動抵抗が減ったため、取り付けたばかりの時よりスムースに動くようになっていました。
あと、このリアショックはリバウンド側の内部スプリングが最適なものが入れられている感じで、伸び切り時のショックをまったく感じないのは特筆すべき点だと感じました。
純正品は伸び切り時にガツンとショックがあり、リアを浮かせたときにガシャンとなって、その後の着地でまたガシャンとくるのでリアのドタバタ感がすごいのですが、こちらのリアショックはリアを浮かせた時、そして着地した時どちらもショックを感じることなく「ストッ」という感じで動きが収まり、ストレスを感じない走りができました。
今回のツインリンクもてぎではトライアル的な走行をするヒマがなかったのですが、伸び側のダンパーがしっかり効いているので、今風のテクニックを使ってリアを振ったりするのは難しいでしょうけど、TLR200で走破できるレベルのセクションをサスペンション任せで走る分には、これで良いのではないかと思います。
あとは耐久性がどの程度なのか等まだ未知数な部分もありますが、この価格で提供できる製品ですから、あまり期待されても困るというのも正直なところではあります。
未知数と言えばこのステッカー(というかシール)なのですが‥‥‥↓
自分のパソコンとプリンターで作った「手作りステッカー」。
耐水性はあるという話ですが、耐候性とかすべてが未知数なんですけど‥‥‥!?!?
もし使っているうちに色褪せたりみすぼらしい状態になってしまったら、すぐに剥がしてくださいね(^^;
【5/1追記】
耐久性について若干不安になるような記述をしてしまいましたが、元になっている製品は国内一流メーカーの製品ですので、amazon等で格安で販売されている商品とは比較にならないほどクオリティの高いものであることをここで改めてお伝えさせていただきます。
また、ツインリンクもてぎでテスト走行した後は外出自粛ということもあり、2ヵ月の間雨風に晒される屋外に置きっぱなしの状況となっておりますが、サビ等はロッド部分も含めて全く発生してなく、新品の時と変わらない輝きを維持しております。
(5月1日撮影)
※ステッカーに関しては直射日光に当たり続けているため、若干の退色が認められますが、前述のとおり「手作りステッカー」ですのでご容赦ください(直射日光に当たっていないこの反対側は退色していません)。
~以上5/1追記~
それから、ドレスアップ効果を高めるために、カラーアルマイト仕上げの高強度アルミボルト&ワッシャーの同時注文も可能といたしました。
カラーはブルー、レッド、ゴールドの3種類からお選びいただけます。
ご注文をお待ちしております。
→https://www.twk.jp/35_373.html2020/8/6 このリアショックの動きを車載カメラで撮りました↓
こうしてこのリアショックの動きを客観的に見ると、思っていた以上によく動いていて、前の方に書いた「伸び側のダンパーが効きすぎ」という感想は間違っていたということがよくわかりました。
大きな入力があってもしっかり動いて吸収し、その後素早く戻って次の衝撃が来てもしっかり吸収してくれていて、スプリングレートとダンパーのセッティングが絶妙であると再認識できましたし、トライアル的な走行にも向いていることも確認できました。
この動画の解説はこちら↓
https://twk.blog.shinobi.jp/Entry/1580/
―――2020/10/08追記―――
車載動画ではイマイチわかりにくかったので、定点カメラで段差越えの様子を撮ってみました↓
これを見るとホントにいい動きしてますね、このリアショック!!
最初はあまりトライアル走行向きではないかな‥‥‥なんて思ったりもしたけど、底付き感もないし戻りも早くてリアを跳ねさせやすいしグリップもさせやすい、まさにトライアル走行にピッタリじゃないですか!?!?
この動画についての解説はこちら↓
https://twk.blog.shinobi.jp/Entry/1581/PR