またまた前回の続きです。

大震災の夜を茨城県筑西市（前回「下館市」と書いたけど現在は「筑西市」になっていた）のビジネスホテルで過ごす事になった私は、ホテル近くの公衆電話でやっと妻と話をすることができ、自宅の被害はほとんどないことを確認して、ようやく一安心。

そして、栃木県の市貝町で働いている長女と、都内千代田区で働いている次女、その次女が住んでいる千葉県船橋市の保育園に預けられている孫の事が心配なので、妻にどういう状況か尋ねた。

長女は栃木県宇都宮市に住んでいてクルマで通勤しているので、無事であれば帰宅できると思うのだが、都心で働いている次女は都内の交通手段が全滅してしまっているので、自宅へ帰るのも困難な状況に違いないし、そうなると孫を保育園に迎えに行くこともできないし、一体どういう状況なのかとても気がかりだったのだ。

ところが、妻から返ってきた答えは「長女は自宅に戻っていて、そこには次女も一緒にいる」という、全く予想もしていなかった状況だった。

この日、たまたま次女は宇都宮に出張中で、帰ろうとして宇都宮駅で東北新幹線に乗り、まもなく発車というところであの地震に遭遇していた。
駅員に誘導され車両を降ろされたが、すべての電車がストップし、いつまで待っても運転が再開される様子はなく、駅の周りは帰宅する手段を失った人々で溢れかえった。
何とか帰ろうといろいろな方法を模索したものの、この状況では帰るのは不可能だと判断した次女は、宇都宮駅前のマンションに住んでいる長女に公衆電話で連絡を取り、そこに泊めてもらう事にしたというわけだったのだ。

昨年12月に結婚した長女の婿殿は東京勤務で無事だったが、やはり東京から出ることはできない状況で会社泊まり。
そして孫の方は保育園の近くの公民館で預かってもらえる事になり、千代田区で勤務中だった婿殿が、何時間かかるか分からないが歩いて帰宅するということで、とりあえずみんな無事でいることが確認でき、ホッとした私はその後ホテルの部屋に戻り、ゆっくりと眠ることができたのでした。

---

翌日の朝、ホテルで朝食は用意してもらえたので食堂へ行こうとしていると、長女から私の携帯に電話がかかってきた。

昨夜の妻との会話で娘二人が一緒にいるということで楽観視していたが、長女のマンションも停電中で水道も止まっていてトイレも使えないし、次女も孫の事が心配で早く帰りたいと言っているのだけど、電車は動いていないし駅前のタクシーも長い列ができている上に、ガス欠で走れなくなるタクシーが続出で、いつになったら帰れるか分からない状況だという。やはり非常事態がきょうも継続中だったのだ。

で、長女は私にクルマで宇都宮駅まで迎えに来れないか聞いてきたのだが、ガソリンの残りも少なく、主要幹線道路も大渋滞が見込まれ、何よりもきょうは真壁トライアルランドでセクションの撤収作業をみんなでやらなければならないのでちょっとムリだと一旦は断わった。

だが、電話を切ってから、娘が困っているのに何も手助けしてやらないのは父親失格だと思い直し、MFJ関東のお二人に事情を説明し、とりあえずクルマで宇都宮駅に向かってみることに決めた。

そして長女に電話し、いつ到着できるか予想もつかないけど今からそちらに向かうと言うと「次女は大宮駅まで行くというタクシーに何人かで乗り合わせて、少し前に出て行ったからもう大丈夫」という返事。
大宮まで行けば動いている電車もあるようだったので、私が今からクルマで迎えに行くよりは賢い選択だろう。

というわけで、話が二転三転してしまったけど結局予定通り真壁トライアルランドへ行って、せっかく作ったセクションをみんなで撤収。



↑撤収前の“幻の”第4セクション。10個のセクションがすでに完成していて、残りは2ヵ所のスペシャルセクションだけという状況で大震災に見舞われた。
作る時はすごく時間がかかったけど、あっという間に撤収完了。
MFJ関東のお二人は、もしかしたら大会をやると思って来る観客がいるかもしれないので、もう1泊して日曜日も真壁トライアルランドで待機するとの事だったが、私はここで帰らせていただくことにした。

真壁周辺は相変わらず停電していて、信号もついていない状態がしばらく続いたが、下妻市あたりは電気が来ていてホッとしたものの、国道294号が一部通行止めになっていて迂回させられたが、あとはいつもと変わらない状態で渋滞もなく4日ぶりに無事帰宅する事ができたのであった。

---

なんだか長々と身内の話ばかり書いてしまっているが、ここまで来たらもう少し書いてしまおう。
震災の翌日には次女と孫も無事に再会することができ、妻の実家でも大きな被害は無かったということで、とりあえずホッとひと安心できたものの、次女の住む船橋市のマンション周辺でも液状化現象が見られ、しばらく断水が続いたり、また年度変わりで次女の仕事が忙しいという事もあって、ここのところ孫の面倒を見る機会が多くなっている。



↑大きく揺れた後、しばらく両親とも離れ離れになってしまい怖い思いをしたんじゃないかと心配していた3才の孫だけど、このとおり元気でよかった。

しかし、今回の震災では同じ年頃のたくさんの子供たちも津波に飲み込まれたりして犠牲になっていることを思うと、そのあまりにも残酷な現実に心が重くなり、まだとても普通の生活に戻る気持ちにはなれないでいる。

あらためて、今回の大震災で亡くなられた多くの方々のご冥福を慎んでお祈りするとともに、今もまだ被災地で苦しい状況に置かれている方々に心よりお見舞いを申し上げます。

---

最後に、今回の全日本トライアル第1戦はほぼ準備が終わっている状態で大会2日前に中止となってしまった訳だが、公式プログラムや参加賞など回収できなくなってしまった経費や、せっかく獲得したスポンサーへの返金など、MFJ関東にとっては大赤字となってしまうのではないかと心配され、延べ8日間設営に費やした私の日当などは要らないと申し出たのだけど、その後考えが変わり、やはり日当は戴くことにした。

先日、その日当が私の口座に振り込まれたのを確認し、すぐにその全額をMFJの東日本大震災義援金口座に振り込ませていただきました。